塾長(教室長)の力量が左右する
まず、第一に、個別指導形態の学習塾の善し悪しは、その塾の塾長や教室長の経験や指導力、パーソナリティに非常に大きく左右されます。
塾長や教室長が経験豊富で指導力や人格的にも優れた魅力的な方なら、その塾も素晴らしいものになるのですが、なかなか現実はそうはいかないようです。
野村克也さんの著書の中の言葉に「リーダーの力量以上にはその組織は育たない」というものがありましたが、まさにそのとおりだと思います。
一般の会社などもそうでしょうが、塾長や教室長の力量以上には、塾もまた育たないのは例に漏れません。
私がいろいろ経験してきた中で、こんな塾長や教室長ならやめた方がいいというものを列挙していきたいと思います。
指導経験が5年未満の教室長の塾はやめなさい
学習塾を始めるには何の資格も免許も要りません。
個人開業の届け出を税務署にすれば、すぐにでも塾を開くことができます。
ここに落とし穴があります。
少しばかり学校のときの成績が良かった、そこそこの大学を卒業した、などということで学習塾をいきなり始められると、それは本人も気づかないかもしれませんが、多くの子供たちの人生を狂わせてしまうことになりかねません。
これは、生徒や保護者、ひいては社会にとっても本当に害を与えることになるのだと私は思います。
また、大学も出ていない人が教室長をしている場合もあるので、注意が必要です。
いろんな個別指導塾に勤めてみて、素人塾長、素人教室長がいかに多いかを実感しました。
これはひとつには、未経験でも資金さえあればフランチャイズ契約を結んで、そこそこ見栄えのいい個別指導塾を手軽に始めることができるのも原因の一つではないかと私は思います。
インターネットなどで調べてもらえればわかりますが、多額の加盟金や売上金の一部を納める契約を交わせば、教室の立派な看板や机・イス、事務机、キャビネットなどの備品など、形を整えることができるのです。
しかし、ことはそう簡単ではありません。
肝心なのは中身です。
塾を運営するには、やはり英語や数学などの教科内容をしっかり熟知して、なおかつ、高校入試、つまり中学生の学習指導がほとんどの学習塾では中心になるでしょうから、年間を通した中学校の学習スケジュール、それに伴う塾での指導方法などを理解熟知しておくことが必要です。
ただただ教えればいいというものではありません。
概ね、やはり5年ぐらいはどこかのしっかりした学習塾で自ら、英語や数学をしっかり勉強して生徒に指導したことのある人でないと、教室長をするには難しいものがあるのではないでしょうか。
しかし、フランチャイズの塾や、地域の駅前にいくつも個別指導塾を設けているネットワーク型やコンビニ型とでもいうような塾の教室長の求人をインターネットで調べてもらえればわかります。
そこには、「前職は営業や製造業の人もいます」などと書いてある場合もありますし、「学習指導経験を必要としていません」と明記していることもあり、そうした塾がほとんどなのです。
これは教室長に営業職のような役目を求めている証拠で、生徒や保護者対応、つまり生徒を集めるセールスマンであればいいということを表しています。
しかし、それでは講師がしっかり学習内容を正しく教えているかが判断できないことになります。
また、生徒や保護者に勉強面でのアドバイスも的確にはできないでしょう。
こういうところはお勧めできません。
教室長(塾長)が20代の塾はやめなさい
いくつかの塾で教えた私の経験から、教室長(塾長)が20代や人によっては30代前半あたりの塾は避けたほうが無難です。
なにより社会経験が少ないことがその理由です。いくら有名大学を出ていたとしても社会人としてはまだまだ未熟であることは否めません。
場合によっては、常識的なことが身についていない場合もあります。
言葉づかいや身だしなみ、生徒への対応、講師の指導育成、保護者への連絡、文書の作成、保護者からのクレームの処理などなど、こうしたことがまだまだ経験の浅い20代では、適切に処理できていない、常識的な判断ができない場合が多いように感じます。
できれば、他の会社で社会人としてのマナーをしっかりたたき込まれた経験のある方が望ましいと思います。
変に最初から先生と呼ばれる立場になって社会人生活をスタートしてしまうと、いわゆる世の中を知らない「先生病」になってしまう可能性が高いからです。