経験はあるが独裁的な教室長(塾長)の塾はやめなさい
飽きもせず、いろいろ行った塾のうち、独裁者になっている教室長の塾がいくつかありました。
教室のその限られた空間の中で、まわりは経験の浅い大学生ばかりで自分が一番偉い立場になっていて、特に、指導経験があって教科内容もそこそこに教えられる場合、どうしてもお山の大将になる場合があります。
通常の会社のように上司がいて同僚がいて部下がいて…といったヒエラルキーの体制を経験したことがないと、独裁的になりやすいのではないかと私は思います。要するに「先生病」です。
知らず知らずのうちに自分のことを偉いと思ってしまう。自分でも気づかないうちに唯我独尊的になってしまう、ということなのです。
こうしたことを避けるために、できれば、ふつうの会社で他の職員と協同して仕事をしてきた経験のある、一般の社会経験のある、謙虚さを兼ね備えた方が教室長としては望ましいでしょう。
ある独裁型教室長は他の塾、といっても日本語学校だったかなと思うのですが、一応、指導経験はあるようで、生徒扱いは慣れているようでした。また、使用している教材もそれなりに経験者が選ぶようなもので、定評のある使いやすいものを選んでいるな、と思ったものです。
その塾長、「なかなか生徒に入っていけない講師が多いんだよねぇ」と嘆いていました。
塾では特に担当を決めずに、10人前後の生徒を3~4人の講師で全体的に見させていました。そして、講師に対しては、どんどん生徒に入っていって指導するように、とときには怒った口調で指示していました。
この集団指導体制のようなやり方は、実は大いに弊害があって、つまり責任と権限の所在が曖昧になるのです。
また、後で述べますが、指導に欠かせない学習記録をいったい誰が書くのか、といった問題も出てきます。
こんな責任と権限が曖昧な体制では、大学生の講師なら、どう生徒に入っていってよいか、そりゃわからないでしょう。私も戸惑います。
A君に指導していいのか、Bさんにアドバイスをしてもいいのか、しかし、C先生はまた違うこと言っているし…、次はどの問題をするの?…となるのです。
積極的に入っていって次はこの問題をしてみて、と言っても、塾長がまた違う指示を生徒に言ったりするものだから、なおさら入れなくなる。
塾長が望むような指導を説明した具体的なマニュアルもないし、口頭での説明も一切ない。いったいどのような指導を塾長が望んでいるかが講師にはわからないので、余計に生徒に入っていけなくなるのです。塾長の頭の中にしかないのです。
こうしたことがその塾長にはわかっていませんでした。本当に独裁だと思います。
このような複数の生徒を複数の講師で集団的に指導するやり方では、指示が一貫しませんし、その生徒に対しての責任の所在が曖昧になります。
科目担当制をしっかり敷いていない塾は、こうした弊害を抱えていることに保護者の方は注意するべきだと思います。
こうした指導体制の欠陥に気づかずに、独裁塾長は「講師が生徒に入っていけない」などと言っていたのです。
個別指導塾の場合、集団授業の塾と違って、家庭教師に類した形ですので、わりと誰でも大学生ならすぐに教科指導ができると、素人の塾長や経営者たちは思いがちなのでしょうが、講師への研修指導がしっかり行き渡っていないと、なかなか初心者には簡単にいかないことが多いのです。
個別指導の講師は大学生がほとんどなのですが、各教科によって何のテキストをどんなふうに指導するのか、宿題の出し方はどうするのか、年間を通した指導はどのようになっているのかなどなど、講師に最初にしっかり具体的に研修するのが当然なのですが、わりとこの辺りが適当な塾が多いようです。
また、講師採用後にすぐにそうした研修をしたとしても、適宜、研修したとおりに指導できているかどうか確認するために、採用後3か月研修や半年研修などといったことをするべきだと思いますが、なかなかそうしたことを実施している塾はないようです。
講師をむやみに叱る教室長(塾長)の塾はやめなさい
また、別の日には、夕方の1コマ目で他に講師は来ておらず、教室に来ていた中学生の誰々を教えてください、と私はその日突然、指示を受けたのですが、まったく事前にどういうテキストをどんな指導で、どういう長期的視点で指導するのか研修もなく、それでも、まあそれなりに指導をしていると、「いや違う」と独裁塾長は突然言い出すのです。そして独裁塾長自らがその生徒に教え始めました。
どこがどう違うのか説明もなく、不本意な気持ちに私はなりました。
また、生徒の前でそういう発言をすると、生徒の方も次からその注意された講師の指導には不信感を持って聞いてしまうことになります。
こうした講師への注意の仕方もわからない独裁塾長なのです。
こんな不愉快な扱いはされたことは今だかつてなかったので、この教室長は人間的にダメだなと思い、即刻、授業途中で「勝手にあなたが好きなように教えればいい」と思って、「体調が悪い」と言ってさっさと帰って来ました。
もうそれ以上、生徒に教える気分には到底なれなかったのです。
どこがどう違うのか説明されなければ、続けて指導しても、また、違うと言われてしまうかもしれず、私にも一応、数十年教えてきたというプライドもありますので、もうこの人の下では働けないなと思ったのです。
そしてメールで、思っていたのとは指導方法が違うので、辞めさせてもらうと、こちらから三行半を突きつけてやりました。
この独裁塾長は人への指導の仕方、注意の仕方がまったくわかっていない人なのだということがこれでしっかりわかりました。
「言ってみて、やって見せて、させてみて、ほめてやらねば人は動かぬ」という山本五十六の昔から言い古されている教えも知らないのでしょうか。
人を指導する資格はこの人にはまったくないな、と思いました。
まったく社会人としての常識もない塾長です。
人をうまく使うということができない人なのだなと思いました。
そこそこの年齢なのに、どういった社会経験をしてきたのか。この人にはだれもついていこうとはしないでしょう。
こうした方は、一般の社会人として会社に入った経験があまりないのではないかと思われます。
また、会社などで部下を指導するという立場に立ったことのない人なのでしょう。教室長なら、生徒にうまく教えるだけでなく、講師をうまく使う方法も知っておかなければならないでしょう。
独裁塾長の典型です。
こうした独裁塾長は外から見るだけではわかりません。逆にしっかりしていると保護者からは見える場合もありますので、注意が必要です。
こういう場合は、講師や生徒にこっそり、それとなくどんな塾長か質問してみてもいいかもしれません。
こんな独裁塾長の塾は、もちろんお勧めできません。